近世まで、固有名の部分を除いた「神社」「大社」「宮」などの社号に特別な基準はなく、一つの神社が状況によって異なる呼ばれ方をすることも珍しくはなかった。明治時代に神社が国家の管理下に入ると、公認の神社は「神社」を名乗り、大社・神宮などを名乗るためには勅許などが必要とされた。さらに後、第2次世界大戦後には政教分離により国家、皇室が神社に直接関与しなくなったため、特に許可を受けなくても、大社、神宮を名乗ることができるようになった。
神宮号は7世紀まで遡る古いもので、代表的なものに伊勢神宮があり、その他皇室神話に関わる由緒を持つごく少数が神宮と名乗ることを許された。明治時代には過去の天皇・皇族・功臣を祭神とする神社が多数創建されたが、このとき天皇・皇族を祭神とする神社を宮、それ以外を祭るものを神社とした。明治時代には、単に神宮といえば伊勢神宮を指した。明治天皇を祭る明治神宮が創建されると、他の天皇を祭神とする神社も順次神宮に昇格した。こうして、歴史上の人物を祭る神社につき、天皇を祭神とする神社を神宮、皇族を祭神とする神社を宮、功臣等を祭神とするものは神社とする序列が作られた。
戦後になって新たに神宮を名乗るようになった神社には北海道神宮(旧札幌神社・北海道)、伊弉諾神宮(兵庫県)、英彦山神宮(福岡県)がある(京都府亀岡市の元官幣中社出雲大神宮等の「大神宮」は「神宮」号とは異なるものと解されている)。福岡県福岡市東区の香椎宮はいわゆる神宮ではないが、最寄り駅が香椎神宮駅(香椎線)というため、誤解される例もある。
大社は江戸時代までは杵築大社(現出雲大社)・熊野大社(いずれも島根県)の二社が名乗っていたが、明治時代から1945年(昭和20年)までは大社を名乗る神社は出雲大社が唯一であった。戦後は旧官幣大社・国幣大社・官幣中社の神社の一部26社が大社を名乗っている。
現在、大社を名乗っている神社は上記の二社のほか、気多大社(石川県)、諏訪大社(長野県)、南宮大社(岐阜県)、三嶋大社・富士山本宮浅間大社(静岡県)、多度大社(三重県)、日吉大社・多賀大社・建部大社(滋賀県)、松尾大社・伏見稲荷大社(京都府)、住吉大社(大阪府)、春日大社・龍田大社・広瀬大社(奈良県)、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社(和歌山県)、宗像大社・高良大社(福岡県)などがある。
また、梅宮大社(京都府)や大鳥大社(大阪府)のように表記が定まっていないものもある。また平野神社(京都府)もかつては扁額に「平野大社」と書かれていた。
via 神社 - Wikipedia
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